「大鹿村騒動記」
(C)2011「大鹿村騒動記」製作委員会
企画・監督:阪本順治
脚本:荒井晴彦、阪本順治
出演:原田芳雄、大楠道代、岸部一徳、佐藤浩市、松たか子、瑛太、石橋蓮司、三國連太郎
【URL】http://ohshika-movie.com/
現在、全国公開中
<イントロダクション>
原田芳雄さんの遺作となってしまった本作――。それは企画の立ち上がりから、原田さんがほれ込んで作った映画だった。
江戸時代から300年あまり。長野県の大鹿村では、途絶えることなく「村歌舞伎」の伝統が続いてきた。そこで長年、主役を張ってきたのが、鹿料理の食堂店主・風祭善(原田芳雄)。
サングラスにテンガロンハットの無骨な男だが、いざ舞台に立てば観客の視線を一身に集める花形役者。しかし私生活では女房に逃げられ、18年間ひとり暮らしをしている。
そんなある日、公演を5日後に控えた村に、駆け落ちした妻の貴子(大楠道代)と幼なじみの治(岸部一徳)が帰ってきた。聞けば彼女は脳を患い、善の顔も忘れてしまったという。わずかに覚えているのは、かつて夫相手に舞台で演じた台詞のみだった。
善の心は迷い乱れ、芝居仲間どうしが対立し、暴風雨まで接近するなか、さて、その幕は、無事開くのか──?
<原田さんのこの企画への思い入れ>
原田さんが、「自らの原点を確認するためにどうしてもやっておきたい」と切望した企画──それが『大鹿村騒動記』だ。2007年撮影のドラマをきっかけに大鹿歌舞伎の存在を知り、興味を抱いた。翌年の春に改めて大鹿村に足を運び、地元の役者衆と観客とが一緒になって楽しむ「芸能本来の力」にすっかり心奪われたという。
そこで阪本監督との映画撮影の話が立ち上がった際に、原田さんがこのテーマを示し、阪本監督とベテラン脚本家の荒井晴彦氏がオリジナル脚本でそれに応えた。
<阪本監督と原田芳雄さん>
阪本監督は、1989年の鮮烈なデビュー作『どついたるねん』以来、『KT』、『座頭市 THE LAST』など計6本で原田とタッグを組んできた。しかし主演作品は、今回が初となる。出会ってからずっと「いつか正面から取っ組み合おう」と語り合ってきた2人。映画界を代表する才能による20年目の念願が果たされた作品となった。
<「仇も恨も是まで是まで」>
原田が大鹿村を主題にしたきっかけに、映画内で演じる演目「六千両後日文章 重忠館の段」のなかにある、「仇も恨も是まで是まで」という平景清のセリフに惹かれたということもあったようだ。あのセリフを、舞台の上で、観客の前で声にした時の、根源的な演技の快感はとてつもなかったという。エキストラの観客は大鹿村で実際に何十年も村歌舞伎を見ている「観客のプロ」。平家滅亡の後日談のこの物語も、実際に村歌舞伎の人気演目。合いの手の入れ方、掛け声を飛ばすタイミングもお手の物。原田さんにとっても、最高の舞台となったはずである。
<どなたでも千円興行>
東映でかかる夏休みの映画興行の新しい試みとして、「デンデラ」と「大鹿村騒動記」の2作品を、シルバーの観客だけではなくて、若い方にも観て欲しい作品として千円興行を行っている。どなたでも、いつ行っても千円で見れますので、ぜひ劇場へ。