——自身を信じて完成を遂げた超大作 劇的舞踊『ホフマン物語』。
初演時に一番大変だった部分、逆にやりがいを感じた所はどこですか?
金森「もっと小規模でも大変な作品はこれまでもやってきてるので(笑)、
この作品が特別大変だったという意識はないかな。
しいて言えば、オリジナル台本を書くのは大変でした。
初めての試みだったし、逆にやりがいを感じていた部分でもある。
物語を構成する上で10人のキャストが全員生きるような台本を書こうと思ったから、
(ベースとなった)オペラにはない役を創ったりもしました。
ダンサーも各々ちゃんと持ち役があったからみんな生き生きしていたし、
役に対して愛情を持ってるのが伝わってきた。
また、それを見ているのも凄く楽しかったですね」
——今回は改訂版になるとのこと。どの程度手を加える予定ですか?
金森「最初に創っていたもの、構想していたものを
もっと深めていきたいという気持ちがまず第一にあります。
個々の登場人物について、“何故ここでこういう状況なのか?”
といった部分をもっと掘り下げていきたい。
例えば(井関)佐和子にしても、“今回はただの再演ではなく、
もっと掘り下げていきたい”と言っている。
表現者として彼女がそういう風にアプローチする様を見ていると、
演出・振付をする側としても彼女の意欲についていきたいと思うし、
彼女がもっと生きるようにしてあげたいとも思う。
そのためにも、この物語や台本が持っている可能性を
時間をかけて深めていければと考えているところです」
——創り手として、一度完成したものを壊したくないというお気持ちはありませんか?
金森「壊したくない部分は自ずと作品が主張してきます。
作品が壊して欲しくないと主張する部分に無理やり手を入れても、
結局は変えられないんです。
“あれ、今、無理してるな”って、やっていてすぐわかる。
そう感じたら、パッと手を引きます。逆に、変えるべき所にはちゃんとスペースがある。
そこに手を入れると、反対側がまたグンと映えたりする。
上手くいくときは、全部が良い方向にまとまっていくんですよね。
それに、お客さんに観てもらって初めて気づくことも多くて……。
幕が開くまで一生懸命考えて考えて考え尽くしているはずなのに、
お客さんが入った状態でパフォーマンスを観ると、
“うわー、そうか”と改めて気づくこともある。
だから、公演が始まってから手を加えることもよくありますよ。
前回も3日間上演して、毎回変えていました。
今回も改めて手を加えるし……。
きっとダンサーは飽きなくていいんじゃないかな(笑)」